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過剰貯蓄とアフターコロナ

Rudy and Peter SkitteriansによるPixabayからの画像

どうも、春雨(@harusame)です。

このブログに来てくださっている方々は投資をしている、または投資に関心があるという方々が多いと思いますが、世界的な潮流としては投資よりも貯蓄が多い、過剰貯蓄の状態になりつつあるようです。

世界で進む日本化

日本はかねてから貯蓄率の高い国として知られていたと思います。伝統的に貯蓄する習慣があり、また不十分な年金制度(異論はあるでしょう)のもと、老後のために貯蓄をなるべくするようにしている人々も多いと思います。

アメリカでは金融危機後から家計部門での貯蓄過剰に陥っており、それは今も続いているそうです。人々がなるべく消費しないで貯蓄に回す、そんな「日本的」な状況に陥っているようです。

具体的に見ると、名目GDP(国内総生産)比で家計部門がプラス23.3%、企業部門がプラス1.0%と貯蓄超過の主体となっている。

消費が減れば、一般的に言えば企業業績も上がりにくくなります。近年は投資よりも貯蓄のほうが上回っている状態です。このような傾向が日本、アメリカだけではなく世界的に散見され、アフターコロナの世界の成長率が鈍化する可能性も大いにあります。

孤立した無人島でたった一人で大金持ちになる人はいない

これは私がしばしば思うのですが、事業で大成功をおさめたような人達の中には、「自分の力だけで成功を掴み取った」と思っている人がいるんじゃないかと思うのです。

しかし、今の世の中でたった一人で経済的成功をおさめることなんてできないと、当たり前ながら思うのです。確かにその人は優れたアイディアを生み出すことができるのでしょう。でも一人でできることは限定されていますよね。その優れたアイディアを実現するのには多くの協力者が必要です。それが労働者です。またそのアイディア、あるいはそのアイディアによって産み出された製品・サービスなどの価値を正しく認知して、それに対して相応の対価を払う大勢の消費者がいなければ、どんなに優れたアイディアでも全く意味をなしません。

話はそれましたが、実際、経済の著しい不平等が生じると、極端な話、一握りの富裕層が生産に占める割合が大きくなりすぎて、残りの人々は買おうにもそれを買うことができず、「過少需要」の状態になってしまいます。そうなると、政府の支援など外部の支援がない限り、深刻な景気後退に陥ってしまいます。

アメリカでの現状は

最上位1%の貯蓄増加が過去35年間平均して国内総生産(GDP)比3%に達していることを突き止めた。この「富裕層の過剰貯蓄」の規模からすると、毎年6300億ドル相当が金融システムに追加的に流入している計算になる。これはスウェーデン経済の規模にほぼ相当する。

というような状態のようです。一握りの富裕層が非常に多くの資産を所有し、しかしそれを消費しきれずに貯蓄に回ってしまっているのが現状のようです。

投資は減っている

そんなにお金があるなら投資して、その利回りで、資産を全然減らさずに裕福な生活を送ればいいじゃないかと考えがちですが、実際はアメリカの投資は1980年から低下基調にあります。

昔は銀行に貯蓄をすれば、銀行がそれを企業に貸して利子をとり、それが貯蓄している人の利息となっていました。今ではそういったモデルは崩れつつあるようです。

また富裕層の貯蓄がどう流れているかといえば、銀行、クレジットカード会社、住宅ローン会社により貸し出され、普通の市民の消費に回されているというのが現状のようです。最近やたらとクレジットカードをつくるよう勧められたり、銀行が盛んに住宅ローンを勧めたりするのは、過剰な貯蓄をそのままにしておくわけには行かないので、なんとか回そうとしていることの現れでもあります。

アフターコロナの経済政策

コロナショックの際、それまで批判されていた日本企業の内部留保が計らずも緩衝材として働いたかもしれません。内部留保は必ずしも現金ではありませんが、消費の落ち込みや従業員の雇用確保のために役立ったのかもしれません。

コロナワクチンが普及し、新型コロナがインフルエンザと同様にある程度防げる「風邪」となったあとも、人々の先行き不安が解消されない限り、これまで日本を中心に指摘されてきた、「お金を使わずに貯蓄に回す主義」が世界的に広がりを見せることが懸念されます。

アメリカやイギリスでもマイナス金利が導入されることが観測されていることも、あながち根拠のないことではありません。貯蓄過剰な世界では金利が下がるのは当然とも言えます。貯蓄があることで、消費やリスクのある投資の資金需要は減るからです。

経済に詳しい人々の中には、極めて累進性の高い所得税や資産税の導入によって、政府の積極的な支出を賄うことを提唱している人もいます。それによって個人・企業の貯蓄の増加に比例するように増加した経済の債務のわなの進行を止めるしかないと考えている人もいます。

これは貧しい人のルサンチマンとか、そういう話ではなく、人間の社会、経済もまた自然のホメオスタシスと同様、バランスを取っていくことで持続可能なのだということだと思います。

新型コロナウイルスは「真実」をあぶり出したのかもしれません。

参考サイト

過剰貯蓄抱える世界経済、中銀も解消の手段持たず-イエレン氏ら指摘
世界経済は過剰貯蓄を抱えており、その結果として生じている経済の低迷を自前で解消するための手段を各国・地域の中央銀行も持ち合わせていない。
コラム:コロナ後の世界は貯蓄過剰に、進む「日本化」現象=唐鎌大輔氏
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